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『SUPER RICH』~悲劇と喜劇と

「ジルバ・ロス」から、ちょこちょこは見るものの、なかなかちゃんとドラマを見なかったのですが(「中島ハルコ」は面白かった。あと「あのキス」のポンコツ・松坂桃李とやばみざわ・三浦翔平、オジ巴・井浦新の怪演が良すぎた)、あの「すみれちゃん」こと江口のりこが主演となれば、とりあえずってことで見たら、これが面白い。さすが、江口のりこ。この人がいるだけで、ものすごくリアルになる。会社にいないときに眉毛なかったり、抜けない関西弁だったり、なりふり構わぬ女が生々しい。これを絶世の美女がやったら、こうはできないし、嘘っぽくなる。この枠の前作の主演予定だった深キョンはもちろん、演技派のアララ(池脇千鶴)でも、難しいところ(池脇千鶴だと、小柄だから可哀想が先行してしまいそう)。

で、このドラマ、金持ちの年上女と貧乏の年下男の恋愛ものって訳ではないのもいい。ある意味、お仕事ドラマだし、ある意味、黒幕ありの戦うドラマでもある。観賞用かと思われた赤楚衛二(野良子犬)と町田啓太(忠犬)が、いろいろな意味でバランスを取っている。両親に早くに死に別れた(しかも、自分のせいだと思っている)主人公が、お金はあったけど、自分は人間としてどうなのか、常に問い続けているのだが、それが、逆に社長でありながらも、周囲の人間を想い、感謝の言葉を伝えることに繋がっていて、そこが魅力になっている。

ダメ男への対応に弱さを見せるあたりも、実に人間らしい。ネタバレになるから、詳しくは書かないが、病院で殴る蹴るのときに、泣かなかったのが、とても良かった。学生時代からのパートナーであったはずなのに、ここで裏切られ、吹っ切れたときの彼女は、彼女だけでなく、彼女の会社の仲間たちを代表している。だから、泣かない。メインのストーリーは重めなんだけど、小ネタを挟み、どこか「喜劇」っぼくなるのも、また、いい。笑えるクズっぷりの戸次とか。

さあ、ドン底からの再スタート。とはいえ、まだまだ波乱の展開を予想して、第3話が楽しみ。人が死ぬドラマが好きではなくて、日常で「こういうの、あるよね」ってのが好きだから、今期はこれと、『二月の勝者』に期待しています。