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ドラマ『伝説のお母さん』~リアルはいつも嘘の中にある

「うわぁ~~!」これは、面白い!

実は番宣はジムトレ中に見ていたんだけどそんなに期待してなくて、見るつもりもなかったのに、たまたま『SONGS』鬼束ちひろの再放送を見るために起きて時間待ちをしているときに見たら、すごい面白い。

とはいえ、人は選ぶかも? 根が真面目過ぎる人、役者の演技力を期待する人、分かりやすさを求める人には不向きかな。

舞台はDQチックなRPGの世界のとある王国。主人公は10年前に魔王を封じ込めた伝説のパーティの魔法使い(女)である。

 

第1回は「ほいくしょがあいていない!」。

魔王復活で急遽召集されたのはいいとして、彼女は生後8ヶ月の乳児を持つ母親。ワンオペ育児でとても討伐の旅に出るのは無理。城下町は保活の激戦地で保育所に行くも空きはなく…という展開。待機児童は100人いて2年2ヶ月待ち。国王は「1人くらい保育所に詰め込め!」というものの、自分が決めた「保育環境を安全にする法」で保育士の人数によって受け入れ人数が制限されていてできず。

この保育所の担当者の「子育てを後回しにした人類の負けですね。おとなしく滅びましょう」と「(優先的に保育所に入る方法は)ご主人を殺してください」(ひとり親家庭は入所のためのポイントが加算されるから)っていう台詞が、まずすごい。

しかも、国王が父親に育児をやらせようと、裏から手を回して会社を首にさせたものの(いるよね? こういう思いつきで権力を乱用する施政者)、さらにとんでも上司に振り回される中間管理職(士官)の悲哀(ってか、でも、所詮男社会の人なんだよね)で、さらにこの父親が全く役に立たない(っていうか育児をやる気がない)清々しい程のダメっぷりも、呆れるを超えて笑うしかない…。主人公、明らかに結婚する相手選びを失敗している。

個人的には行ったところのある離れたところに行く魔法(「ルーラ」らしい)を失敗する魔法使いに「伝説の魔法使いなのに、ダメじゃん!」と突っ込みを入れたくなる。

「保活」「ワンオペ育児」「働く女性への無理解」「男中心社会の現実的な女性への考え」…と、まあ、社会問題を詰め込んでいるのだけれど、これが現実世界ではなく、ファンタジー世界(!?)を舞台にしているので、逆に安心して見ていられる。映画『翔んで埼玉』ではないが、完全にフィクションにリアルの要素を詰め込む方が、かえって面白くて分かりやすい。現実社会をリアルに再現しようとすればするほど、見ている側は「現実はそんなもんじゃねえよ!」となるのだが、そもそも現実ではなくとんでも設定の架空の世界だからこそ、余計なことを考えずに世界観に浸れるというのはあると思う。しかも、遊び心満載、DQ風にご丁寧にゲーム画面まで挿入してくれるのだから。

第2回「こづれでいこうぜ」の戦闘シーンも主人公の子供(どうもこの子の間の悪さというかタイミングの悪い泣きっぷりは、父親の遺伝が強いと思う)のためにターンを無駄にし、しかもこの主人公真面目なんで「今、あたしのターンじゃないんで」と待機している間に「(敵が)仲間を呼んだ」で数が増えて負ける始末…。

この回は「イクメン」勇者の「サラリーマンの兼業」「テレワークによるブラック労働」「安らぐ場所のない父親」…などのテーマも盛り込まれ、勇者は死んでいる間(教会で復活し、死んでいる間に来ていた仕事の処理に追われる)に、保育所へのお迎えに行き損ね(奥さんとの交代でのお迎えの当番だった模様)、身重の奥さんにヒステリックに怒鳴り込まれるあたりも笑えるけどつらい。

ついでに、平成(ゆとり)世代の象徴かのような新入り僧侶の言動(コロコロ意見を変え、それを自分でなく指導のせいにする、「褒められる」ために動く、とか)も。

他、「たのしいショーシカ」の魔界のお兄さんお姉さんに、復活した魔王のピンぼけぶりなど、突っ込みどころ盛りだくさん。

 

今週放送の第3回「働“け”ざる者たち」は、予告ではパーティの仲間のシングルマザーの、男中心の会社で働く姿をモチーフにするようだが(第4回は派遣勇者の、将来の生活への不安からの転職活動がテーマらしい)、全8回、これからどんな問題が提示されそれにどう主人公たちが対応するのか、魔王の目的は何か、さらに人類に未来はあるのか、いろいろ楽しみ。

これ、全部見終わったら、また何かしら感想を書きます(土曜日23時30分からの放送なんで、ちゃんと予定表に書いておけば見逃さなくて済みそう)。

 

第2回の再放送は今夜、日付が変わって1時10分から、第3回の本放送は明日2月15日(土) 23時30分からです。 

 

#伝説のお母さん

#夜ドラ