· 

調味料の話3~醤油


どの調味料でも値段の差はありますが、醤油は分かりやすいですね。同じメーカーでも、普通の醤油と特選丸大豆醤油はかなり値段が違います。私はキッコーマン特選丸大豆醤油、実家の母はキッコーマンの普通の醤油を使います。では、この「差」はどういうことなのでしょうか?

 

まず、特選と普通の醤油の差ですが、これは醤油のうま味成分のアミノ酸の含有率で農林水産省が決めています。普通の醤油で1.5%ですが、特選はこの1.1倍、超特選は1.2倍という基準があります。出来上がりの醤油(生醤油)に15%の塩水を混ぜて薄めて、それぞれの基準を守ればいいので、普通の醤油は、特選醤油よりも多く薄められる訳です。なので、普通の醤油の方が少し安くなります。

 

次に普通の醤油と丸大豆醤油の違いです。これは原材料の表示を見ると分かります。

普通の醤油は「脱脂加工大豆(遺伝子組換えでない)、小麦、食塩、大豆(遺伝子組換えでない)、アルコール」です。

これが丸大豆醤油では「大豆(遺伝子組換えでない)、小麦、食塩」とシンプルです。

普通の醤油の一番目の材料の脱脂加工大豆ですが、これは、大豆油を抽出した残りの、言ってみれば搾りかすです。なので、材料費が安くなります。丸大豆は大豆の種類ではなく、大豆丸々ということです。同じ量なら、脱脂加工大豆の方がよりうま味成分が多い醤油ができます。これを薄めるので、さらに安くなります。丸大豆だと、発酵させる途中、油が浮いて酸化を防げるメリットはありますが、発酵の進行が遅くなり時間がかかります。製品にする過程で、油を取り除く作業も発生するので、それもコストを上げています。ただし、油からできたグリセリンが溶け込むので、脱脂加工大豆と違ううま味が加わります。

さて、気になるのが、最後の2つ、丸大豆(遺伝子組換えでない)とアルコールです。これは、調べていたら、こうらしいという意見が出ていて、説得力がありました。醤油は発酵させてつくりますから、発酵の際に、どうしても品質にばらつきがでます。酵母により、大豆、小麦の糖質を糖にして発酵させる過程でアルコールが発生し、それが塩分とともに腐敗を防ぐ役割をするのですが、中にはアルコール分が足りない醤油もできてしまいます。あるいは、アルコールが多すぎるということもあるでしょう。なので、丸大豆醤油の、「ちょっと失敗」というものを普通の醤油に混ぜたり、アルコールが足りないものはアルコールを足したりして、調整しているらしいということです。これで、「ちょっと失敗」を活用できるので、さらにコストが下がります。

 

あとは、好みの問題ともいえそうですが、普通の醤油の方がキレがあり、丸大豆醤油はまろやかになる(加える塩水の量や、グリセリン、ゆっくり発酵させることによってアミノ酸の種類が少し変わることからですかね)と言われています。母は、割と濃いめのはっきりした味が好きです。いわゆるご飯が進む味ですね。値段が安いこともあって、たっぷり使う方だと思います。一方、私は、特に夜は主食の糖質を抑えているので、ご飯が進む味では困ります。そのものの味を楽しみたいといえばいいですかね。みりんと同じく、値段が高い分、使い方も量を使い過ぎないように気をつけるようにしています。(もちろん、広告をチェックして、安いときに買うようにしていますが。最近は750mlのボトルもあるので、それも注意しながら、1Lで税抜278円なら、「買い」です。)

 

ただの塩味なら食塩が一番安くなりますが、塩分量を考えると、うま味のある醤油の方が、塩分量を抑えられるのも、醤油のいいところです。