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合成甘味料についての私的見解

合成甘味料の問題については、いろいろ議論されているので、難しい話はそちらで見ていただくとして、ボディデザインをする上での食生活とい点からすると、私としては、「あり」だと思っています。「あり」ですが、必要以上に頼らないことが大事です。

 

合成甘味料の優れている点は、甘味があるのにカロリーがほとんどないことに尽きます。しかも、甘味が砂糖の数百倍なので、わずかな量で甘味を出すことができ、摂取量も少なくて済みます。もちろん、種類によって、後味かすっきりとか、わずかに苦味があるとか、癖はあるので、実際には、他の天然の甘味料や合成甘味料と組み合わせて使われることが多いです。

問題としては、この優れた性質ゆえに、人体の反応のバランスを崩してしまうことです。人間は、本能的に甘いものをエネルギー源だと思っていますから、味覚が甘いと感じるとエネルギーとして利用するための反応をします。ところが、合成甘味料は甘いのにほぼカロリーがない。つまり、実際にはエネルギー源が体内に摂り込まれていません。そうすると、体内での反応が無駄足になります。困ったことに、そのうちに味覚が甘味を感じても、反応が鈍くなっていったり、あるいは、もっと甘いものを欲したりするようになります。個人的に「狼少年」理論と言っているのですが、「狼が来たぞ」と言っても誰も準備しなくなり、本当に狼が来た(エネルギー源を摂った)ときに大混乱することきなります。また、「なら、ちゃんとした本物の凄い狼(もっと甘くてガッツリとエネルギーになるもの)を呼ばなければ」と思うようなことも出てきます。

なので、使い方としては「嘘」にならないように使えるかがポイントです。つまり、単体として摂取するのではなく、他の多少なりともエネルギーのあるものと一緒に摂ることで、混乱を防ぐようにすればいいのです。食後のデザートにゼロコーラやゼロカロリーの寒天ゼリーなら、大きな問題にはなりません。あるいは、砂糖や麦芽糖の補助的に合成甘味料を使った甘いものなどは、満足感があってカロリーを抑えられるのでいいと思います。

 

アセスルファムKなどの合成甘味料は、天然の糖の一部を塩素に変えた構造をもっていたりするので、塩素の有毒性を心配する意見もあるのですが、私は、「大量摂取するのものでなければ大丈夫」という考え方です。理由は、塩素があるからと言って、即危険ではないから。食塩もそうですが、イオン化して安定しているものは、即毒性はありません。もちろん、塩素分子単体では即毒性ありですが、塩素はイオン化しなくても、強力な分子結合をするので、分解されづらい、つまり、消化されないということになるからです。もちろん、農薬など、塩素が含まれる分子構造のものが有毒性をもつこともありますが、薬として使うものは、試験され規制されています。逆に、私たちの身体を合成する炭素、水素、酸素が常に安全かというとそうでもない。メチルアルコール、ホルムアルデヒドなど、炭素と水素と酸素だけでできているものでも、人体に危険なものもあります。身近なものでは二日酔いの原因のアセトアルデヒドなども有害ですね。有害なものは、分子の結びつきが弱く、化学反応を起こしやすいという共通性があります。一部の合成甘味料が下痢を起こしやすいのは、反応せずに吸収されず、そのまま排出されるから、ということです。

また、中には、「合成甘味料の、発ガン性などの人体への悪影響」を考える方もいます。発ガン性の懸念は確かにありますが、では、大量の砂糖の摂取はどうなのか。発ガン性も長期の大量摂取により影響が出るとしても100%ではありません。では、砂糖は? もちろん、短期的には害がないにしろ、大量摂取を長期続ければ、肥満や生活習慣病につながり、さらに身体の老化を促すとなれば、それはそれで危険な食べ物と言えます。

 

要は、バランスです。普通の食事もそうですが、それだけに偏ることなく、バランス良く食べることで、過剰摂取によるリスクを避けられます。闇雲に怖がるのではなく、しっかりと考えた上で、「口に入れるもの」を考えていくことが、健康的なボディデザインに役に立ちます。

食品の表示を見て、必要以上に添加物を摂らないようにすることは大事です。しかし、ある程度必要なものについてまで怖がり、添加物のない高額な食品ばかりにすると、買い物にも不自由しますし、経済的にも長続きできません。タンパク質をしっかりと摂ることについても、あまりプロテインに頼らずに、美味しく食事から摂ることが大事です。トレーニングも大事ですが、身体を構成するための食事はもっと大切です。トータルで見て、健康にいい食事を継続していきたいですね。