先日、面白い記事を見たので、男性の筋トレの現状を考えてみました。データは、男性専用総合美容クリニックのゴリラクリニックさんの調査です。
現在筋トレしているのは、20代で40.7%(うち定期的が16.0%)、30代で38.7%(同16.7%)、40代で36.7%(同16.7%)、50代だと20.7%(同12.0%)で、40代が30代よりも少なくなっている「現在、ときどき行っている」2.0%分は、「過去にしていたが、また開始したい」が2.0%多い分と同じ。美容クリニックでの調査ですから、「見た目」に対しての意識が高い人が多いと思われますが、それでもこのくらいの数字なので、実際に筋トレしている人はさらに少ないでしょう。特に若年層はジムでなくて「宅トレ」も多いと考えられるので(定期的とときどきでの、定期的の比率が30代40代よりも低い)、コンビニでTarzan見てはちょこちょこやっている人がそれなりにいるように思います。
先程の30代と40代の差の2.0%は、「やる気はあるんだけどやっていない」という、もちろん、仕事が忙しいというのもあるのでしょうが、40代が体力の低下で筋トレがおっくうになってきているのが分かるところですね。
大きく変わるのが50代です。今後筋トレする気がない30代40代が、どちらも26.0%(しかも、40代の方が過去に筋トレしたことがある比率は高い)なのに、50代は61.3%で倍以上、「今までも、これからもしない(興味がない)」が35.3%もいるというのは、「見た目」はともかく、健康面でいかがなものか?
20代だと、モテるための「見た目」の問題が大きいと思うのですが、30代40代は仕事での自己管理能力が問われる「見た目」の問題もありそうですね。さらに、「国はあてにならない、年金はあてにならない」という世代の、健康な老後のための意識が高いということもあるかと思います。時代を反映した結果とも言えそうですね。
50代の筋トレへの意欲がガッと下がっているのは、大きく3つの理由があると思われます。
まず、「今さら、見た目を…」という諦め。40代以下は自己管理能力という点で「見た目」を意識するということが、グローバル化の中で植えつけられていますが、50代は「仕事ができれば、それでいい」という時代を生きてきました。「見た目じゃなくて、中身」という意識ですね。また、「カッコよくなるための努力」を他人に見られることへの抵抗が大きく、妙なプライドがあるのかもしれません。
スポーツに対する意識も違います。世代が若ければ若いほど、スポーツの多様化で、身近なスポーツが増えてきますが、サッカーブームが起こる前の日本では、野球、大相撲、せいぜいプロレス(巨人、大鵬、力道山世代の影響が強い)で、スポーツはやるものでなく、見るものという感覚が強かった影響が大きいように思えます。また、それ以外のスポーツはオリンピック目指して専門の選手がやるもので、「東洋の魔女」と言われたバレーボールは女性のもの(ママさんバレーブーム)になり、男性のやるスポーツが少なかった(草野球と伝統武道くらいですかね)というのもありそうですね。ましてや、直接競技にはならないと思われていた「筋トレ」、最近でこそ、ベストボディやフィジーク大会が盛り上がってきて、それにつられる形でボディビル大会もメジャー化してきましたが、二昔前に「ボディビル」をやっていると言えば、間違いなく「スポーツ目的もでなくただ筋肉に執着する変人(ひどい言い方ですみません)」扱いされていました(かく言う私も、バーベルクラブに興味があったものの、それでなくても「変人」なのに、それ以上の「変人」になるのは…と、断念した訳で、今思えば「他人の目を気にせず、入会しておけば良かった」と激しい後悔)。さらに、一握りの「体育大好き」人間以外、あまり体育の授業に良い思い出がないこともあるかとも思います。身近なスポーツが少なかったこととも関係するのですが、この世代の体育といえば、徒競走(短距離、長距離)、器械体操(跳び箱、マット、鉄棒)、夏の水泳で大半を占めていて(さらに、運動会、体育祭の練習も)、あまり「運動を楽しむ」ものではなかったこともあります。しかも、長距離走の途中は「水を飲むな」と言われ、器械体操がうまくできなければ「ひたすら練習」と言われ…。今考えると、科学的分析なく、根性論で行われていたのですから、運動=体育ではやりたくなくなるのは仕方ないこと。
また、健康面からの運動も、だだ「体重を落とす」ことだけで、医学的な筋肉の重要性よりも、「とりあえず歩く」が推奨されてきた世代でもあります。筋肉を増やすことを目標とすることが考えにない人が多い世代とも言えますね。 あと20年もすれば、健康への意識、もちろん「見た目」への意識がも向上し、各世代ともさらに筋トレをする割合が増えて、50代60代の方も筋トレが当たり前になっていると思います(何しろ、70歳までは働くのが当たり前の時代になろうとしているのですから)。運動習慣の有無は、健康面でも見た目の若々しさでも大きな差になります。
美容クリニックの調査なので、あまりガッツリと筋肉を増やして、という意識は少ない感じがします。
食べても太りにくいということ、それと年齢なりの貫禄という点では、「腹が出たら胸を出す、脇腹が膨らんだら背中を拡げる」という感じで、筋肉をつけることで見た目にもバランスがいい身体を作る方が、ある意味合理的だた思えるのですが…。
かつて「明治生まれは気骨が違う」と言われましたが、いずれは「昭和生まれのオッサンは、カッコいいじゃん!」と言われるような時代が来るかもしれません。もちろん、自分も含めてですが、「昭和生まれ、なめんなよ!」といえるカッコいいオッサン、ジイチャンが増えて、世の中が少し元気になることを期待しています。