「生きる力を与えてくれる本」が『キッチン』なら、近年で、私に「生きる力を与えてくれた曲」がこの曲『サイレントマジョリティー』。オッサンにありがちな、新しいものに関心を示さないという悪い性質で、欅坂46のデビュー時には全然関心も持たず、その後、関ジャムで紹介されても「ふぅ~ん」だったのですが、いとうあさこさんがダンスを完コピした企画をYouTubeで見かけて爆笑し、それで本物のPVを見て、はまりました。
作詞はもちろん、秋元康先生。量産しなければならないこともあって、なんとなくやっつけ仕事っぽい詞と感じる曲も多いと言えば多いのですが(ごめんなさい)、ここぞというときにはすごい詞をつけてきます。古いところで言えば、美空ひばりさんに書いた『川の流れのように』、近年ではNHKの朝ドラ主題歌『365日の紙飛行機』とか、「秋元先生、やってくれるわ~!」と思わず言ってしまう感じ。『サイレントマジョリティー』は、アイドルグループのデビュー曲にありがちな、初々しい恋愛ソングとは真逆の、社会性の強いメッセージソング。メロディも前半の中低音の上げ下げの少ないマイナーコードから、珍しい変拍子を経て、徐々に上がっていくメジャーコードで、ラストに解放感でいいのですが、そこに乗ってくる秋元先生の詞がいいのです。「誰かの後ついて行けば傷つかないけど その群れが総意だとひとまとめにされる」「夢を見ることは時には孤独にもなるよ 誰もいない道を進むんだ」とか、ある意味、私の背中を押してくれた曲です。もちろん、いとうあさこさんが踊った振り付けもなかなか素敵!
欅坂46は、これも珍しいタイプのセカンドシングル『世界には愛しかない』を続けて、ようやく、分かりやすい(とはいえ、よく読んでみると、なかなか解釈の難しい歌詞)アイドルグループ的なサードシングル『二人セゾン』(セゾングループのイメージソングではありません。念のため)で、認知度が上がった後、民進党の分裂騒動のときに、立憲民主党を立ち上げた枝野さんにも『不協和音』が話題に挙げられて、完全にブレイクします。その辺りは、また別の機会に。
センターの平手友梨奈さん、普段ははにかみ屋でちょっと茶目っ気のある、普通の女の子っぽいのに、いざイントロが始まると、髪振り乱して表情一変。中森明菜様の系譜に連なる憑依型アーチストだと思うのです。なので、心身とも傷まないかと心配になります。